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「孫の力」

お盆までの一週間ほど腹水はあったが、起き上がることも食事も食べていた。
私がお見舞いに行く特は娘といっしょなので、娘の声を聞くときは顔の表情が違う。
明らかに元気が出るみたい。娘が手をにぎるとにぎり返してくれる。
「ばあば」というと「はーい」と苦しそうな声だけど必ず答えてくれる。
食事も「ばあば、食べて」というと頑張って食べてみせる。

孫って偉大だ。私にもばあばがいるからなるべくやさしくしよう。今まで以上にと思った。

娘は3才児なりに心配していた。
ばあばのすきなスイカの絵を書いて見せたり、尿カテーテルの袋のおしっこの量をみて
「ばあば、おしっこ出てるから元気なるよ」とばあばに言う。大人が心配しているのを
みて覚えてしまったみたい。

病院から帰る時、「ばあば、またくるね」というと不自由な手で、手を振る。
亡くなる前日までそれは変らなかった。

娘は「ばあば、治るよね」と一日に何度も聞いた。
仏壇にも一日に何度もお線香を上げていた。

6月に危篤になった時もそうだったが、仏壇に向かって、「ばあばを治してください」と
おがんでいたと思ったら「ママ、仏様、わかった」っていったよーだって。
(この日の夜、意識を取り戻して「うるさいよ」という第一声を弟に言ったのだ。)
子供には本当に見えるのかもしれないね。

8月の時は「仏様、何も言わない」っていっていたけど。

子供の純粋な気持ちは御仏にも伝わるんだと今になってみるとそう思える。