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「奇跡の生還」

2004.6.16-19母の意識は戻らない。
それでも、弟は不眠不休で呼びかけ続けた。「帰ってこい、そっちにいくな」
それは日ごろ無口な弟がこんなにしゃべることがあるんだろうかと親戚一同を驚かせた。

1日すぎ、手を動かすようになった。弟の声に反応するようになった。私の娘の声に反応するようになった。
みんなで代わる代わる手足をさすり、声を掛けつづけた。

2日すぎ、顔色が良くなってきた。でも、意識は夢の中なんだろう。

3日すぎ、呼吸が楽になったようだ。

たしか19日の夜だったと思う。弟と母方の叔母がついて居た時「うるさいよ」と言った。頑張れよって声を掛けつづけていたのに「うるさいよ」はないでしょうよと思ったが弟と叔母は「やったー、わかるんだね」というとうなずいたそうだ。

主治医の先生もびっくりして強いですねーと驚いていた。まだ、油断は出来ないと言っていたが私たちは嬉しかった。
父方の叔母たちは掃除したから治ったといっていた(風水できれいにするとなおるというのを信じているので)

その後24日まで私は滞在したのだが見る見る元気になってごはんも食べれるようになった。話も普通に出来るようになった。生死をさまよった日々の記憶は無いらしく、ただ起き上がりたいのに起きられなくてイライラしていたと言っていた。
このあと、歩行のリハビリをする位、元気になった。残念なことに私はその姿を見ることは出来なかった。7月中は本当に元気で歩行器を使って歩き回っていたそうだ。
今になって思えば、なぜ、7月だけ帰省してあげなかったんだろうと心が痛む。元気なばあばを娘にもっとみせてあげたかった。

この頃の私の状態は肩と背中の強張りがひどくとにかくだるかった。でも、母に比べたらと思うとそんなことは
言っていられないと思っていた。